エヴァンゲリオンについて。
ネットに、(キリスト教の教典ではない)聖書を読むと、エヴァンゲリオンの世界(アダムやリリス、使徒など)がよくわかる、
ということが書いてありました。
読みたいと思い、図書館を探しますが、検索の仕方が下手なのか見つかりません。
そこで、いったい、何という題名の本を読めば、エヴァンゲリオンの世界をより理解できるのでしょうか?
みなさんのお力かしてください。
聖書ではなくても、「これを読めば、エヴァの世界がわかるよ」という本の情報もお待ちしています。
よろしくお願いします。
大きめの書店や図書館なら必ず置いていますから、窓口の方に訊いてみると、すぐ見つかると思いますよ。
市営や県営の図書館だと、政教分離の問題なのか、まれに置いてないケースもありますけど(私の実家のある市の図書館は置いてないです)。
なおキリスト教の教典以外の聖書というのは、基本的に存在しません。
外典(教会に正典と認められなかったもの)をまとめた本としては、講談社の『旧約聖書外典』がありますが、エヴァの参考にはほぼならないですよ。
ごく最近に公式監修の設定資料集である『新訂版エヴァンゲリオン・クロニクル』が出ていますので、そちらから入った方が理解はしやすいかと思います。
いわゆる週刊誌で、創刊号はもう書店でも置いてない所が多いので、出版社のデアゴスティーニからバックナンバーを買うのが確実ですね。
とはいえ聖書を読むのも無駄ではありません。
エヴァの世界観は聖書のそれをベースにしていますし、『クロニクル』はあくまで引用資料として聖書の一部を抜粋している程度なので、理解と同時に誤解も生じがちです。
元になった神話を読むのは、十分に意味のある事ですよ。
旧約聖書と新約聖書とがあり、どちらも分厚いですが、全部読む必要はありません。
ひとまずは3つ目を通せば十分です。
①旧約聖書:創世記
世界の創造から人類の繁栄までの記述です。エヴァの世界観に最も関わる部分ですね。
聖書内には出てきませんが、後世の解釈では神がアダムと同時に創った最初の女性がリリスであり、彼女はアダムを裏切って地獄に逃げて多数の悪魔族を出産。堕天使ルシフェルの妻となったほか、蛇に化けて二人目の女性であるイヴに知恵の実を食べさせたとされており、この設定がエヴァでは生きています。
神とアダムとイヴとリリスと人類との関係、リリスに足がない理由、知恵の実と生命の実の意味、何をすると“神に似た存在”になるのかなどが判ればOK。
少し思考を補助しますと、まず神という絶対者がいて、知恵の実と生命の実の両方を食べると“神に似た存在”になります。
そして少し聖書から外れてカバラ(ユダヤの神秘思想)の話になりますが、生命の樹の図形を解読すると、“神と同等の存在”になります。
(カバラの生命の樹は、聖書の生命の樹の実と同じものですが、エヴァの作中では別物)
初号機は使徒を捕食して“神に似た存在”となり、ゼーレは人類の死と新生のために“神と同等の存在”による贖罪の儀式を必要とし、ゲンドウは自らを神になろうとしたなど、この違いは結構エヴァの中では重要です。
注意点は、先の方も書かれている通り、エヴァの世界観は聖書の記述通りではないということですね。
聖書で人類はアダムとイヴの子孫ですが、エヴァの世界ではリリスの子孫。つまり悪魔族です。
この差異が、「本来神が望んだ正しい生命体に生まれ変わろう」という、人類補完計画の動機の一つになっています。
②新約聖書:マタイによる福音書
キリストの誕生から処刑まで。
内容自体はあまりエヴァには関わりませんが、神とキリストとの関係や、キリスト処刑の場面がどういうものだったかが判ればOK。
あと「父と子と霊」という概念が判ると、ゲンドウとシンジとレイの関係も見えやすくなります。
なおキリストの死亡を確認するため腹に刺されるのがロンギヌスの槍ですが、これは聖書とはまるで設定が異なります。
③新約聖書:ヨハネの黙示録
人類の審判の日を描いた、預言書とも言われているものです。
これも作中の設定と深くは関わりませんが、「第666プロテクト」や「ハルマゲドン」となど要所要所で使われるさりげない言葉の意味が判るようになります。
あと、この黙示録はたぶん聖書の中で一番読み物として面白いです。
と、こんなところですね。
あとは旧約聖書のエゼキエル書やイザヤ書などを読むと、智を司る天使ケルビムが4枚の翼を持つ者と描かれており、OPの初号機や、セカンド・インパクト時のアダムの4枚の翼の意味に繋がります。
とはいえ、ここで書いちゃったので、もうあまり読む意味はなくなってしまいましたが。
なお、これらの世界観はエヴァの世界の「舞台」のためのもので、作品のテーマに直接かかわるようなものではありません。
あくまで物語のケレン味のようなものです。
また聖書だけでなく先述したカバラや外典以外にも、色々な神話や著作からの引用があります。
たとえば弐号機捕食のくだりはギリシャ神話のプロメテウス。
初号機や巨大綾波の12枚の翼や、リリスの設定は、日本人の最もありがちな“堕天使”のイメージに合わせたという方感じですね。
興味があれば調べるのも一興ですし楽しいですけど、面倒なら『クロニクル』で一通りは十分だと思いますよ。
私もわざわざ調べたわけではなく、ちょうどエヴァの本放送があっていた頃、神学校に通っていたので偶然に理解の助けになっただけです。
いや、聖書とか読んでもちっともエヴァの実質的な設定はわからないと思いますよ。というか全く参考にはなりません。
むしろエヴァの設定は宗教的なモノに準拠していない為、余計こんがらがると思います。
あくまで宗教に出て来る名前を借りてきてる程度で中身は違う、実質的な設定は現実の宗教的なものとは関係ないという認識を持っていた方がいいと思います。
基本的なことはwikipediaを見ればいいですけど、もっとちゃんと知りたい場合は、やはり公式であるエヴァンゲリオン・クロニクルといったエヴァ事典や、あとはエヴァンゲリオン2というゲームをやるなりその情報を見る方が理解の助けになるはずです。
エヴァンゲリオン・クロニクルは今ちょうど新訂版で発売されてますし、最低限必要な宗教的な知識もそこに載ってます。
またエヴァンゲリオン2~造られしセカイというゲームは、庵野監督監修で、原作(アニメ)の謎解きの目的もあるもので、ここで出て来る機密情報や、カヲルシナリオやレイシナリオは非常に役に立ちます。
実際ゲームを買ってやらなくても、機密情報なら、「エヴァ 機密情報」と検索かければネットで見れますし、
(こことか→http://www.evacommentary.org/omake/nge2_kimitsu.txt)
各シナリオもニコニコなどで重要なシーンをまとめた動画は見れます。タグ検索で「造られしセカイ」と入力すればいくつも見れますよ。
ちなみにエヴァに出て来るアダムやリリスは造物主のような存在で、「生命の種」と呼ばれる神のような存在です。
そしてアダムは生命の実を食べた者であり、リリスは知恵の実を食べた者です。
しかし、両方の実を持つ存在こそ「神」と定義されている為、それぞれ片方の実が欠けている彼らは、厳密には「神に最も近い存在」とされてます。そしてエヴァはこのコピー。
そしてそのアダムが生み出した生命、それが第3~第17の使徒であり、いわゆる彼らは「生命の実を得たヒト」です。
一方上記のアダム系を除くと、地球上にいる全ての生命はリリスより生み出された生命で、その最終形態として生み出された存在が人類(リリン)であり、いわゆる「知恵の実を得たヒト」となります。
そしてその知恵の実しかない人類に、生命の実まで齎す計画。それが人類補完計画です。
聖書でも「旧約聖書」ですね。
古典文学の様な扱いなので、大抵の図書館には、
児童書コーナーの外国作家の棚あたりに置いてありますよ。
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